Under the Same Sun 2

モルジブボートトリップの続き

モルジブボートトリップのメンバーはMale空港で解散した。その日の便で帰国する人、Maleに一泊して翌日帰る人、俺と仲間4人はMale空港を夕方出発して1時間半ほどスリランカのColombo空港へ向かった。今回、行きは南西部のHikkaduwaでトランジットしたが8月の南西部はオフシーズンでサイドからの風が吹き続けている。いっぽう島の反対側にあたる南東部のArugambayはシーズンインになる。帰りはトランジットのついでにアルガンベイで3泊することにしていた。

Photo:オンショアが続くHikkaduwaビーチ

空港からArugambayまでは約300㎞、78時間かかる。5人+サーフボードはワンボックスカーには収まらないのでマイクロバスをチャーターしてもらっていた。エアコンも乗り心地も驚くほど快適で18時にコロンボ空港を出発して夜中2時過ぎにアルガンベイに到着した。

Photo:マイクロバス車内

アルガンベイでは1999年にA-Frame Surfを作った時の相棒Mamboがレストランとホテルを営んでいる。ここはYalaというナショナルパークに隣接していてサーフポイントに野生のゾウが出没したりジャングルの中にはヒョウやクマなど野生動物が多く生息している。

 

荷物を部屋に放り込むとすぐにベッドに横になった。前回、ここに来たのが2011年なので12年ぶりになる。町の様子も変わっているだろう、いろいろな想いを募らせ目を瞑った。

朝早く天井でゴツゴツと何かが飛び回っている音で目を覚ました。表に出て屋根を見たら野生のサルたちが群れで追いかけっこをしていた。

Photo:モンキー

辺りが明るくなってきたので波をチェックしに行くことにした。コテージからビーチを5分ほど歩くと徐々にブレイクが見えてくる。ここがArugambayのメインポイントだ。

フェイスで頭半からダブルくらいのサイズの波がブレイクしていた。すでに20人ほどのサーファーたちで賑わっている。ラインナップが混んでいるのが苦手なので少し待つことにした。どこの海でも朝は混んでいるのが常だ。多少面が荒れていても空いている方が良い。11時過ぎに人が半分くらいに減ったので着替えて海に入った。

Photo:Arugambayメインポイント

メインポイントはこのエリアにしては珍しくリーフが入っていて地形が安定している。ピークから良い波をつかむと200mほどのロングライドできる波。

このエリアには8ヵ所くらいのポイントがあるがここ以外はすべてサンドバーのライトの波。シーズン初めメインポイント以外のポイントは地形が深くブレイクしていないことが多い。シーズンが進むにつれて南から徐々にサンドバーが形成され7月に入るとベストシーズンを迎える。サンドバーは11月ころまで続き12月から3月くらいまではオフシーズンになる。代わりにHikkaduwaがドライモンスーンとなりオフショアの日が続きシーズンインとなる。

Photo:ホテルの目の前はビギナー用のポイントだ

久しぶりのArugambayの波、水温はモルジブより23度低く、少しヒヤッとする。サイズが大きいので少しカレントも発生している。ピークでは一番良い波をつかまないと気が済まない連中が右往左往しているので少し手前の波に乗ることにした。サイズはオーバーヘッド、すでに風が入っていて面は少しガタついているも日本ではめったにないロングライドできる良い波だ。この日はチューブになるセクションを見出せなかった。トップターンから長いリエントリー気味のカットバックまで大きなラインでサーフィンできる良い波だった。

 

Arugambayの町はこの20年でかなり発展した。レストランやお土産物屋さんにマッサージとお店もたくさん増えたし海外からの旅行者も急増中だ。しかし大きなビルやショッピングモールのようなものはなくローカル感が溢れている。

Photo:Arugambayの町


Mamboに聞いたところコロナが明けてからはイスラエル人が圧倒的に多いらしい。韓国のように彼らも数年間徴兵に行く。それが終わるとしばらくの間、バックパッカーをしている若者が多い、また自国の戦争を逃れてやってくるロシア人も多いそうだ。

Photo:mamboが経営するゲストハウス

翌日、「ハル、別のポイントを案内するよ」とスリランカ人の友人Sampaが誘ってくれた。町から10分も走ると田園風景からジャングルへと景色が変わる。この辺りはあまり変わらず自然が豊かなんだなぁと思っていた。すると突然Sampaが急に車を停めた。「ハル、ゾウだぞ!」

 

100mほど先に3頭のゾウがジャングルから現れた。2009年に長い内戦が終わりこのエリアは開かれたエリアとなったが町以外はまだまだ自然が保たれているようで少し安心した。

Photo:ゾウ

1時間ほど南へドライブしただろうかSampaが案内してくれたポイントは俺も初めていくところだった。Mamboが買ったというジャングルの土地に車を停めて海へでると目の前にサーフポイントが出現した。頭くらいのサイズのライトブレイクで沖から規則正しくブレイクしていた。ジャングルに沈むサンセットまで5人で空いているポイントを満喫した。

 

Photo : 新しいポイント

海から上がり井戸水で潮を流して着替え終わるとクレイ(泥)とヤシの葉で作ったキッチンでMamboのスタッフがスリランカティーを入れてくれた。現在サーファーたちが泊まれるキャンプを作っているそうだ。

Photo : クレイで作ったキッチン

旅の最終日、蓄積した疲れが溜まっている感じがした。こういう時は無理にサーフィンをしないほうが良い。ショップや久しぶりに会う友人を訪ねた。このエリアもスマトラの大津波で甚大な被害を出し、レストランや家を無くした人たちも多かった。今ではそんな面影はまったく感じられないし俺の仲間たちは元気に商売を続けている。スリランカに通い始めて今年で25年になる。肌の色や言葉は違えどサーフィンや同じ価値観が繋いでくれた絆に感謝せずにはいられない。

 

続く

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